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マンボウが好きです。

マンボウが好きです。

20歳のときに池袋サンシャインの水族館でマンボウを見て、
その、泳いでいるというよりは、ゆらゆらと浮いているだけにしか見えないその姿に
衝撃を受けました。

こんなにやる気のない生き物って、いるんだ。

それはぼーっとしているとか、うかうかしているとか、
そんな生易しいやる気のなさではなく、
自分自身が生きているかどうかもきっと知らないんだろうな、と思えるような、
壮絶なやる気のなさでした。

以来、私はマンボウのことが頭から離れませんでした。
それから2年ほど後に鴨川水族館かどこかに行って、マンボウのぬいぐるみを購入。
そのぬいぐるみをイラストに書いたりして、そのイラストをその頃macintoshに入っていたクラリスワークスというソフトで加工し、便箋にして配ったりしていました。
(なんだこのエピソード)

その頃、「癒される」という言葉は、まだいまほど流行っていなかったと思いますが、
一浪してバブル末期の早稲田大学に入り、
「なんだワセジョか」などと言われ、
びっくりするほどビールを無駄に一気飲みするサークルの先輩男子たちや、
その男子たちに群がり、ビールを注ぎ、派手に盛り上がる同年代の女子たちの中で、
けっこう私は疲れていたのかもしれません。
そのやる気のないマンボウの姿に、心底癒されたのだと思います。

その後、マンボウは1億個も卵を産むけどほとんど無精卵で孵らないとか、
せっかく生まれてきても精神が弱くて、例えば何かにぶつかるとすぐにショック死してしまうとか、
ときどき水面に浮かび上がって日向ぼっこをするから、英語ではサンフィッシュ(sun fish)と呼ばれているとか、マンボウのさまざまな情報を知るにつれ、
どんどんマンボウが好きになっていったのです。

というわけで、これまで私のブログのタイトルはずっと「東京サンフィッシュ」でした。
東京に住み、忙しく働き、またあくせくと遊んでいるけれど、いざとなったらマンボウのように生気をなくすことだってできる。
もちろん、生き生きと生きられることが一番いいのかもしれないですが、
長い人生には、死んだふりをしながら生きなきゃいけないことだってきっとある。
そんな風に考える私にとって、マンボウは心のお守りのような存在なのです。

ま、いろいろと書きましたが、そんなわけで、マンボウ日記というこの記事は、
日々思ったことをつらつらと結論もなく意味もなく書き連ねる場にしたいと思います。
マンボウあんまり関係ないな。

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