コピーライター・こやま淳子のホームページ

女子中高生とコピー。

ときどきコピーの授業をしています。

教えるって行為は、はっきり言ってめんどうくさい。

授業の前の一週間は、いつもそれなりに準備をするのですが、

その時間が私は本当に嫌いです。

(資料を完全に使いまわしで授業するということはなく、

いつも講義内容や生徒に合わせて、少しずつカスタマイズします)

ああめんどくさい。なんで講義とか引き受けちゃったんだろう。

と思います。

 

が、実際に講義をやってみると、とても楽しいんですね。

人前で話すのは緊張するから嫌いなんだけど、

実際にやってみると、その緊張感が、気持ちいい。

そもそもマイクを通して、誰にも邪魔されず喋り続けるって、気持ちいい。

ちょっと言ったことがどっとウケたりすると、また気持ちいい。

終わった後に送られてくるアンケートで「とてもよかった」

なんて言われると、これがまたこの上なく気持ちいいのです。

 

で、先日は世田谷区の鴎友学園という、中高一貫の女子校に行ってまいりました。

入るなり、8色のセブンチェアが並んでいて、

ちょっとびっくりしました。おしゃれな学校ですね〜。

宣伝会議賞に、数年前に新設された「中高生部門」というのがあって、

それに応募してもらおう、という、

宣伝会議と学校がタッグを組んだ企画です。

そういう取り組みをやってること自体が、いい学校だなあと思いました。

受験勉強にはなんの関係もない授業。

そういう「無駄なこと」も、きっとこの先の人生には

とても役に立つんじゃないかなと。

 

いえ、むしろ、それが「無駄なこと(やってもやらなくてもいいこと)」

のうちに学んでおいたほうが、

それを好きになれる可能性って上がるんじゃないかな。

 

私はコピーを学ぶ前にコピーが職業になってしまったクチなので、

純粋に好奇心の対象としてコピーを学べる彼女たちが、

ちょっと羨ましい気もします。

 

この日は、中間試験か何かが終わった日らしく、

また、中学生はお休みの日だったらしいのですが、

それでも中高合わせて数十人の生徒さんたちが集まってくれました。

ここで広告や、言葉を考えることを、好きになってもらいたいなあ。

という使命感がふつふつと湧いてきた私。

 

「コピーライターって何?」

という、基本的なことから、

 

「コピーってどういう役割なの?」

という本質的な話まで、

ふだんの授業よりもかなりかみ砕いて説明しました。

 

やってみると、ふだんの授業でも、これくらいかみ砕いてもいいかなあ、

と思ったり。

 

でも私の言いたいことは、いつも同じです。

 

コピーとは、人とモノ(商品)をつなぐ価値を発見すること。

広告には、いろんな手法があって、

人気タレントだったり、おもしろいセリフだったり、

ネットと連動した企画だったり、そういうことで話題になる広告もたくさんあるけれど、

コピーライターの使命は、本質的な商品(やブランド)の価値を

どうしたら人に伝えることができるのかを考えること。

そこから逃げちゃダメだよ!ってこと。

 

そして、コピーを考えるって、人間を考えることなんだよ。

ってこと。

 

最後の40分では、実際の課題をやってみました。

おもしろかったのは、そのときのブレスト。

「じゃあ、この商品のいいところと悪いところを言っていこうか。

端のあなたから」

というと、それまでシーンと聞いていた中高生たちが一斉に

「えーー!!」

と悲鳴をあげます。

 

「いや、それがわからないとコピーは書けないよ!

さっさと答えて、はい!」

という感じで指していくと、嫌がっていたわりにはスラスラと、

その商品のいいところと悪いところが挙げられて行きます。

 

で、途中まで来ると、気づくんですね。

悪いところといいところはつながっている。

ネガティブな部分も、ひっくり返すとポジティブにになる。

そう、その発見が、コピーの原石だったりするわけです。

 

で、ブレストが終わると、今度は個々にコピーを考える時間に。

10分ほど考えてから、紙を回収。名前書いてね〜。とか言いながら。

 

そして5分休憩し、集めたコピーをざざざっと見ると、

お? けっこういいコピーあるね。

 

これは前にもやったことあるのですが、

ブレストを挟むと、ブレストやらないときよりも、

その後に出て来るコピーが明らかに違う。

いいコピーが多くなるんですね。

 

考えてみれば、実際の仕事でも、

アイデアを持ち寄る前にスタッフ間でブレストはするわけで、

人の意見を聞いてアイデアを膨らますって大事なステップなんだな…

と改めて思いました。

 

「じゃあ、この中から特によかったコピーと、まあまあよかったコピーを発表します。まず、〇〇さんのコピー」

と言うと、またもや

「ええーー!!」

と悲鳴。そして止まらないざわめき。え。なになに? なにごと?

 

しばらくしてわかりましたが、

「え!名前発表されるんですか!!」

という悲鳴およびざわめきでした。

思春期っておもしろい。そんなことが大事件なのね。

 

「いや、いいコピーしか発表しないから。いいでしょ、名前言っても」

 

実際、名前を言っておかないと、そのコピーが真似されちゃったりしてもかわいそうだし、

それにここで褒められた子は、きっとものすごく自信になるんじゃないかなと思ったわけです。

 

あとで聞いたら、

やっぱりここで褒められた子は、とても嬉しかったらしい。

 

そういう記憶が、たとえばこの先コピーを書くわけじゃなくても、

広告とか、ものづくりとか、何かしらのアイデアを出す仕事をやってみようかなという自信になったりするんじゃないかな。

 

なんて思いながら、すごく良かったコピーだけじゃなくて、

ちょっとよかったとか、もう少し表現を工夫すればよくなったのにとか、

この考え方はユニークだよねとか、

なるべくいいコピーをたくさん発表していきました。

まあ1時間半という時間はとても短くて、

すべてのコピーは発表できなかったんだけど。

 

そして最後に発表した3本は、中高生が初めて書いたコピーとは思えないような、とてもいいコピーでした。

そのまま広告に使っても、それなりに人の心を捉えるんじゃないかと思えるような。

 

そんなコピーが出てきて、私はとても嬉しかった。

そのスキルは、こんな風にものごとの本質を考えた経験は、

コピーライターじゃなくても、きっと何かの仕事に役に立つから。

だから本質から逃げないで、これからも人と世界をつなぐ言葉を探し続けてくれるといいな。

 

帰ってきてから送られてきたアンケートを見て、また感動しました。

一人ひとりがかなりしっかりと書いてくれていて、

中高生って、本当にちゃんと話を聞いてくれて、ひとつひとつのことを心に染み込ませてくれてるんだなということがよくわかりました。

うーん、教え甲斐。

 

行く前はあんなにめんどくさかったのに、やっぱり教えるって楽しい。

教えることで私もたっぷり学ぶことができた、そんな秋の土曜日でした。

またいつか皆さんと、どこかで会えるといいですね。

 

 

 

 

 

 

 

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